★0066 5円引きブロマイドの思い出

 昭和40年代の子供達にとって、駄菓子屋はトレンドが溢れる大切な拠点だった。現在でも駄菓子を扱う店棚は存在するが、大型店の一角に収まっていたり量販型式であったり、当時とは随分と趣が異なる。昔は、学校や神社の近くに店があることが多く地域に溶け込んでいた。そこへは小遣いをもった子供達が、友達同士や兄弟で集まってくる。小遣といっても10円単位。50円もあれば色々と買えた。
 目当てはクジや菓子、玩具である。店内には、色とりどりの遊び心満載の商品が並び、釣り下がっていた。今日で言う、ドン・キホーテのジャングル方式みたいなものだ。ある時、「クジ引き」と「集める」という要素を兼ね備えたブロマイドが目にとまった。これが、5円引きブロマイドである。L版写真サイズのカードが1枚ずつ紙袋に入り、口元の一箇所に糸を通して30枚の単位で綴られている。自分の好きな位置でカードを引き抜く。何が出るかはお楽しみ。すなわち、一回5円のブラインド商法である。
 カードが束ねられている表紙には、1枚だけ内容のサンプルが糊付けされている。それを見てシリーズが分かる。大抵の店主なら、この表紙サンプルを最後の1枚を買い切った客に譲った。当然、大人買いはできないので、サンプルが誰の手に渡るのか、そのタイミングを皆が気にしていたものだ。
 5円引きブロマイドと自分との思い出は数々あるが、ある冬の日のことが印象深い。その日は雪が降っていて足首程に積雪があり、とても寒かった。祖母から小遣いを貰い、どうしても肉まんとブロマイドが欲しくなったのである。思い切って長靴を履いて、一人で徒歩片道10分ほどのところにある駄菓子屋へ行った。往復の道のりはとても長く感じられた。やっと手にしたブロマイドは、帰宅するまで中身を見なかった。そして出てきたものは、ウルトラセブンのバド星人だった。その不気味な容姿と道中の寒さが重なって、何とも言えない怖いような寂しような記憶として残っている。
 今回、ここに紹介するのは、かつて山勝や丸昌などが販売していた5円引きブロマイドの復刻版である。当時のブロマイドをまとめて揃えるのは困難であるから、とても嬉しい復刻だと思う。吊り下げのパッケージも販売時さながらに再現されている。ブロマイドの中には、貴重なスチル写真も少なくない。これは、是非とも欲しいアイテムだ。
 この復刻版、2007年に六本木ヒルズ森美術館『ウルトラマン大博覧会』にてM1号から発売された。しかし、即日完売。期間中に会場へ足を運んだものの、入手が出来ず残念な思いをしたものだ。以来、オークションでは高値で取引が行われ手も出せない状況だった。

 そんな思いを抱いていたのは自分だけではなかったらしい。今回、リクエストに答え、ウルトラマン45周年記念と題した「ウルトラマン・アート!」展の会場限定で、タイトルを変えて再販されたのである。どうやら、巡回する各会場へ50セット前後が供給されているようだ。商品仕様は昔さながらだ。全120種が30枚ずつ4束に分配されて綴られている。ダブりを避けられるよう、カバーの裏側に色違いのシールが貼られ、赤・青・黄・緑を購入すればストレートにコンプリートできる。また、各束には箔押しブロマイドが2種類封入されている。

  1束30枚入りが2,625円、1枚あたりの単価は87.5円(税込)なので決して安価ではないが、手に入れられる喜びは大きい。今回の再販が第一弾と命名されているので、今後のシリーズに期待したいところだ。 @2011.08.21

 

Toy Data

「ウルトラ怪獣大行進」第一弾 M1号

30枚入×4種 2011.07 各¥2,625