★0037 DGを徹底解析する

 待望のHGシリーズが復活!デジタル技術を駆使した究極の掌フィギュア、DGシリーズが発売された。カプセルを開けて組み立てた瞬間、誰もが納得した、その完成度に。一体、何処が進化しているのだろう。

 今回のDGシリーズは、HG本来のサイズに戻されている。と言うのも、HGシリーズはディテールを追及する余り徐々にサイズアップして行き、HGCOREに至っては同じフォーマットとは思えない大きさに至っていたのである。今回、DGシリーズはサイズアップしなくとも究極のディテールを追及していくという姿勢に立ち戻り、HGの原点に再び立ったようだ。

 全体的に改善された点としては、まず分割ラインが目立たないことが挙げられる。カプセルフィギュアの負となっていた組み立て部分のぎこちなさが、ほとんど感じられないくらいに処理されている。手間のかかる作業だろうが、カラーリングの境界でカットしたり、表皮の凹凸の単位を巧みに利用して被せるような接合面に処理されているのだ。そして、メーカー名や版権元、ロット記号などが足の裏や台座の方へ移されたため、本体のデザインを損なうことは無くなっている。さらに、背面塗装の省略など妥協が廃止され、きちんと塗られていることが何故か新鮮に思える。

 問題もなくはない。付属する補助台座が、汎用ではなく個体専用となっているのは歓迎だが、本体成形色と同一なのである。ウルトラマンに赤色の台座では、いかにも見栄えが良くない。それから、試作品と比較すると、ある程度色数が省略されていることが分かる。

 それでは、個別に観察してみよう。

 

>>ウルトラマン HG-P13のAタイプも気に入っていたので比較してみた。それほど見劣りするわけでもないが、並べてしまうと進化の方向が一目瞭然である。DGウルトラマンは、例えば手を一つとっても、オペ用の手袋の上からシルバーのスプレーで吹いたという劇中スーツの特徴を造形と塗装によって見事に表現している。しかも、このサイズで行われているところが驚異的に感じられる。目はどうだろうか、残念ながらクリアは採用されなかったが、結局は彩色の方が表情が出るという、経験に基づく判断がそこにはある。気になることは、ホビー誌で紹介されていた、目のダイヤモンドカットの単位を表わすDGプリントが見当たらない。省略されたのであろうか。ウェザリングが目まで覆っているために分からなくなっているのかとも思えたが、よく観察しても識別することはできない。全身の汚し塗装については評価が分かれるところだが、汚れというより陰影を強調するような効果が大きいように思う。程度をどれくらいにするかは、今後の課題となろう。

 

>>ゾフィー HG-P7の個体と比較してみた。各々は、登場期がことなるスーツなので細かい部分は比較できないが、体のバランスや調色に関して、進化が感じられる。手袋については、マンと同様に色調も変えてあり申し分ないところだ。最終話に登場したDGのゾフィーは、Aタイプのスーツを流用したものなので、俗に言われる“ジャイアント馬場体形”を成すことや、広角レンズの作用で鼻の下が長く見えるところなど、劇中の再現に抜かりない。

 

>>ベムラー HG-P13の個体が稚拙に見えてしまう。最大の原因は、対象年齢が引き上げられていることで、モールドの尖り具合がまるで異なることだ。前面の鱗の単位といい、原型師の根気には脱帽する。下半身のスーツのタブつき具合もリアルである。分割による口中の塗装や舌の再現なども評価される。そして、顔面にはDGプリントが奢られる。接写すると生イカの表面のような感じだ。プリントのピクセル単位が見える。そして、多色が微妙に混合されて転写してあることが良く分かる。これは想像だが、DGプリントは塗料よりも発色性が低いために、転写面は白色か明るい色調でないと効果が出ないのではないか。そのために、何というか半透明の光沢色のように見えている気がする。

 

>>レッドキング 定評のあるHG-P37の個体と比較してみた。何とも、疎かに見えてしまう。サイズが大きいばかりか、頭が大きくレッドキングのイメージからは離れている。そんな風に見えるようになってしまった。DG版は、喉の部分にスーツアクターの顔の膨らみがある点など、究極大怪獣譲りである。元パーロットエースの原型師の健在ぶりが感じられる。全体はアナログ塗装で、黄色の成形色に青緑色がウェザリングされ凹部に落とし込まれている。顔面に、若干キラキラする塗料があり、DGプリントを施してあるように感じられるが、どうであろうか。問題の爪は、ウレタンスーツにめり込んだ状態で再現されている。尻尾は、遠慮なくサイズが確保された。

 

>>バルタン星人 HG-ベストセレクション1の個体と、HG-怪獣ベストセレクションのクリア個体を並べてみた。その差は、説明するまでもなく歴然である。さて、今回のラインナップの中では、最もDGプリントの威力を見せつけている。胸や下半身のプリント部分を見ると、まさに写真である。写真がフィギュアとして立体化されたような錯覚に陥る。その注目の部分を接写してみると、ピクセル単位の他、走査線のような横縞や指紋のようなシワが認められる。これは、画像ノイズのようなものではないだろうか。転写は、手作りされた原型を3Dスキャンして曲面のデータを得、当時のスチル写真などから採取した画像を巻きつけるように配置させる。そしてプリンタのような機械でインクジェットに近い原理で噴着させるのではないかと考えられる。そのどこかの工程でノイズが発生しているような気がする。あるいは、インクが乾燥する際のチヂミのような現象なのかもしれない。バルタン星人の下半身の場合、一度に転写は出来ないので、前後からの二工程が存在すると思われる。

 

 以上だが、新しく始まったDGシリーズ、素晴らしい杮落しになったようだ。この品質を維持し、改善し、まず10年は続けて欲しいと思う。個人的には、これまでに発売された全HG怪獣のリメイクと、新しく人気怪獣を取り入れて行ってもらいたい。@2009.10.05 

 

Toy Data

DGウルトラマン01 バンダイ 2009.09 各¥300